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伝えたいこと2007 Vol.06


多様な人との出会い
森下 英治(教授・政治・行政、経済・環境)
これまでの人生の中でかなりショッキングな出会いは、1985年に青年海外協力隊に入り、派遣前訓練で他の候補生たちと一緒になった時である。年齢は20 歳から40歳で経験も職種も様々。20代後半の私には、オッサンのような人(今の私より若いが)もたくさんいたが、同じ候補生=同僚、として3ヶ月の合宿訓練にともに挑んだ。スポーツや音楽などの指導を職種とする候補生は、全国大会やコンクールで上位に入る実力を持つ者が多く、20代前半の若い人が多かった。一方、自動車整備や農業指導などは30代の人が多く、世間のいろんなことを良く知っている人が多かった。価値観、人生観などもまちまちで、また、方言もいろいろとあり、結構、カルチャーショックを味わったことと、負けられんと思ったのを覚えている。

訓練後、1986年にスリランカ測量局コンピュータユニットに派遣された。初めての外国であり、初めてオフィスに行った時はかなり気負っていた覚えがある。そこでは測量局のスタッフやスイスからの派遣専門家らと出会い、国境を越えた活動について刺激を受けた。と同時に地域の人の「自然の状況が変わってきている」という話しが引っかかっていた。この引っかかりが、帰国後、環境の勉強を始める引き金となり、30代で5年間の大学院生活を始めることになった。

修士課程では、タンザニアの内陸地で3ヶ月現地調査をした。そこで出会った地域の人たちは、また、それまでと違っていた。往々にして、振る舞いは明るかったが、貧困に対する諦めの面も見えた。滞在中、南アフリカ共和国でネルソン・マンデラ氏が釈放され、調査地でもラジオからのスピーチの一言一言に沸いていた。それまであまり気にしていなかった人種差別問題や人権の問題を意識する機会になった。

この後も現在に至るまで様々な良い出会いがあり、刺激を受け、多くを学んでいる。今日、憲法改正に向けた準備が進んでいるが、外国との交流は兵器ぬきで行われることが望まれる。

森下 英治 (Hideharu Morishita)

プロフィール

東京工業大学総合理工学研究科システム科学専攻博士課程修了。スリランカ測量局(青年海外協力隊システムエンジニア、在コロンボ)、東京工業大学社会工学科(助手)、国際連合地域開発センター(研究員)、アジア工科大学(助教授・准教授、在バンコク)、などを経て現職。近年の諸活動は研究分野参照のこと。日本計画行政学会、日本地域学会、日本環境共生学会などに所属。

研究分野・専門分野

1996年より、パキスタン・パンジャブ地方の環境改善に関わる調査・研究を続けている。水質汚濁の状況、原因、人体への影響を調べ、改善のための方法を技術面、政策面の両面から探っている。近年では、他の研究機関やNGOとの協働で調査・研究を進めている。
参考URL:http://www.uderc.com/(別ウィンドウで開きます。)