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伝えたいこと2007 Vol.09


大学はどんな場なのか?
稲垣 充廣(教授・情報コミュニケーション担当)
私は活動の場を大学に移してから5年目になる。この間、講義などの授業を軌道に乗せることに追われていて、「大学生は大学という場ではどのように過ごすものなのか」と考えてみることがほとんど無かった。そこで、改めて「大学はどんな場なのか」と考えてみた。
小中大
「学校」の文字の前には、小学校の「小」、中学校の「中」、高等学校の「高」、大学の「大」の漢字が使われている。ここで、小中大は、何かが大きくなっていくことを表わしている。この何かを「知識量」と「人間としての幅(広がり)」を掛け合わせた面積に当てはめると、小中大は、そのまま面積が順に大きくなっていく。幅の広がりは、先生や友人との関係において人間としての対応力になろう。「中」と「大」の間にある高校の「高」の解釈としては習得する知識が増えることを重視しているようにも思える。大学の「大」のためには、専門知識に当てはまる「高」の知識量を増やすことも必要ではあるが、人間としての「幅」を広げることの方がより重要ではないだろうか。こんな風に考えてみた。無論、私的な意見である。
幅の広がり
個人的な解釈ではあるが、大学を卒業し社会人になってみて、大学で学んだ知識がそのまま役立ったとは思えない。会社や社会で様々な問題や課題に直面した際に、柔軟かつ適切に対応して行ける力が備わっていることの方が大切だった。振り返ってみて、大学で学んだことの価値はこのようなところにあったのだと感じている。2007年8月29日の日本経済新聞の小宮山宏さんの新聞記事から引用させて頂くと、大学はシンクタンク付きのフォーラム(古代ローマにあった広場)で様々な考えを持った多様な人達の集まりであり、キーワードは「対話」、「気付き」、「多様性」であると述べている。これらのキーワードは「幅」を広げるものになっていよう。
対話
大学でゼミ生たちに、アルバイトに精を出したり、いつもの仲間と時間を過ごすのも、それはそれで良いのだが、せっかく大学という場にいるのであるから、先生方との対話やいろんな活動に参加して欲しいと話している。4年生になったゼミ生が、そうだと思っても、もう1年しかない、半年しかないと嘆くが、そんなことはない。残りの時間を少しでも自分の幅を広げるために使えばよいとアドバイスしている。専門的な知識、様々な考えを持った先生を活用し対話を意識していけば、「幅」の拡大を実践していることに他ならない。在学生の皆さん、できればこのような話題で先生方と対話してみて欲しい。これから大学に入ろうと考えている方にも参考になればと思う。

稲垣 充廣 (Michihiro Inagaki)

プロフィール

三重県出身。名古屋大学工学研究科(電気電子)修了、NTT の研究所、事業部、グループ会社などで職務経験を経て、現職。近年、中京大学人工知能高等研究所共同研究員、岐阜県公衆衛生検査センターシステム構築委員会メンバなどで研究活動。情報処理学会会員及び電気学会に所属。

研究分野・専門分野

企業での研究開発および実務経験を基にし、研究テーマとして、企業・社会システムと情報科学、情報処理一般について研究。近年、急激に変化している情報システムのソフトウェア開発や新技術活用のサービス提供手法、およびデジタルミュージアムやネットワークセキュリティなどにも興味を持っている。