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伝えたいこと2008 Vol.03


政策って何?
清水 和美(教授・情報コミュニケーション担当)
一年春学期に「総合政策I」と云う授業がある。《政策》とは何か、分野毎に担当者を変えて紹介する内容で、情報分野からの見方を担当している。昨年は、携帯電話各社の比較をテーマとした。

その当時、auは番号ポータビリティ制度の導入以降は順調な成長、新興のSoftBankは若者に人気はあるものの順位は定位置の3位、DoCoMoはデザイン力で他社に顧客を奪われる一方、とほぼauの1人勝ちであった。授業では、これらの状況をストック(累積数)とフロー(年間の純増)に分けて説明し、実際の3社比較を演習形式ですすめた。ストックとフローで比べる方法は、他にも有効な分析であり学生もよく理解してくれた。新聞記事や周りの意見だけでなく、数値を比較すると違った面が見えてくるもので、例えば利用者一人あたりの売上げでは、全く異なる順位になったりする。

最後にレポート課題として、「1年後にこの3社の順位はどう変化するか」を学生に示した。多くは、auが継続して順位をもっと上げるとしていたが、10人程が「価格競争が激しくなり、ソフトバンク社がその中で勝ち抜ける」としていた。その時は面白い意見としかとらえなかったが、その予測はピタリと当たっている。さすがに「お父さんが白い犬になってしまったCMの影響」とする理由はなかったが、彼らの感覚には驚くものが有る。

「政策」とはこんな考え方の手順だと思う。政治や社会問題だけでなく、企業の中では企画・マーケティング・調査等の部署があり、競合相手との比較や自社の優位性を保つ検討を毎日考えている。トヨタにおける品質管理活動にも共通するが、特段に難しいものでなく、データを集め、分析し、順位付けや最適対策を考えることであり、そのようなことが日常的に出来る社会人になって欲しいと思う、卒業式を来週に控えたこの頃です。

清水 和美 (Kazuyosi Shimizu)

プロフィール

NTTで通信機器の開発や通信ネットワークの計画・設計の業務を経て、1998年から愛知学院大学教授。経営情報学会、日本広告学会等に所属。

研究分野・専門分野

  • 研究分野
  • 情報通信分野
  • 専門分野
「情報化と社会」を対象とし、企業における情報化の形態・地方自治体における情報化計画の推移等を調べています。