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伝えたいこと2014 Vol.01


哲学のすすめ
小城 拓理
C. ロナウドとメッシはどちらがいい選手か。

これはサッカーファンなら一度は考えたことのある問題でしょう。この問題を考えるとき、みなさんはどうしますか。きっと、ここで問われている「いい選手」とは何かについてまず考えるはずです。では、いい選手とはどんな選手のことでしょうか。ゴールを数多く決める選手でしょうか。それとも賞を数多く取る選手でしょうか。はたまたファンサービスに熱心な選手でしょうか。

こうした問題について考えるとき、実はみなさんは知らず知らずのうちに哲学しています。というのも、哲学とは何かを問うという営みそのものだからです。みなさんは哲学にどのようなイメージを持っていますか。きっと多くの人が何やら小難しいものというイメージを持っていると思います。でも、それは誤解です。哲学は全ての人に開かれた、もっと身近なものです。

では、哲学するとはどういうことでしょうか。私は二つの仕方で問題を考えることだと思います。第一に言葉を分析することです。つまり、問題となっている事柄がそもそも何であるのかを明らかにすることです。上の問題ですと、まず「いい選手」とは何かをはっきりさせることです。そうでないと、この問題にちゃんと答えることができません。そして第二に理由や根拠を分析することです。つまり、どちらがいい選手かを決めるだけでなく、その理由や根拠もはっきりさせることです。どちらか一方に肩入れしながら、その理由や根拠を明らかにしないのは、単なるえこひいきですよね。こう考えてみると、哲学することはいつでも、どこでも、誰にでもできることがわかるはずです。

もちろん、哲学研究者はサッカー選手の優劣を考えているわけではありません。でも、哲学研究者は先ほど挙げた二つの仕方で様々な問題を考えています。かく言う私は自由をめぐる問題について考えています。きっとみなさんは人間が自由でいることは当たり前だと思っているでしょう。しかし、人間はどこまで自由でいることができるのでしょうか。様々な事例をもとにこの問題を考えてみると、普段は気づかなかったことに気づき、日々はっとさせられます。

社会にはたくさんの問題が存在しています。そうした問題をぜひ哲学してみて下さい。そして、みなさんが当たり前だと思っていることを改めて問い直してみて下さい。そうすることで常識だと思っていたことの裏側には実に不可思議で興味深いことが隠されていることがわかるはずです。そうした発見こそが哲学する醍醐味だと思います。みなさんも身近なことから哲学してみませんか。

公開日:2014年11月10日