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伝えたいこと2021


総合政策学部で経済学を学ぶ
三浦一輝
 私は金融論や経済政策などの経済学科目を講義しています。みなさんが「経済学」に対してもつイメージはどのようなものでしょうか?

 株で大儲けする技術? ビジネスで成功する秘訣? とりあえず「お金」のことを考える学問? 経済学を自分の日常とは無関係なものと考えている人は少なくないのでしょう。私自身も大学に入って経済学を学ぶまではそんな風に思っていました。当たっている部分と、外れている部分があります。たしかに、経済学では「お金」の役割が強調されることもありますが、それは個人的なお金儲けのためというより、「お金」を通じて人と人、人とモノをつなぎ、生活や社会を豊かにする方法を考えるためです。

 日々、私たちが接する「経済」ニュースは多岐にわたります。経済成長と自然環境、貧困と格差、政府債務の拡大、物価、キャッシュレス化、最低賃金、消費税、円安・円高、金融危機、少子高齢化、地方創生、社会保障、失業問題などなど、経済に関わるさまざまな現象が生じており、いずれも人間の生活に深くかかわるものです。言うまでもなく、現実の生きた経済に絶えず関心をもつことは必要ですが、大学で学ぶ「経済学」では、こうした経済についての「知識」よりも、経済についての「考え方」を重視します。例えば、なぜ景気は悪くなるのか? なぜ豊かな国と貧しい国があるのか? なぜ格差が存在するのか? なぜモノが値上がりするのか? なぜ地方は衰退しているのか? なぜ貿易で豊かになるのか? なぜ少子化が進んだのか? なぜ財政赤字に悩む国が多いのか? など、経済現象の中の「なぜ?」を見出し、その解決策を模索していく学問が「経済学」です。経済現象は人の営みが引き起こすものです。今、私たちの目に映っている経済現象を「結果」として考えるならば、その背後には、人々の行動が「原因」として存在しているはずです。さらにその行動も、何らかのインセンティブ(動機)によって促されたものです。因果関係やインセンティブの構造をひも解きながら、社会現象を一定の法則として理解する「経済学的な思考方法」を身につけることは、身近な生活から経済の動きまで、そのメカニズムを解き明かすのに有効です。

 総合政策学部のミッションは、社会の課題を見つけ解決することです。しかしながら、現実社会の課題は複雑で、さまざまな要因が絡み合っていることがほとんどです。総合政策学部の強みは、「経済学×データ分析」や「経済学×○○学」というように学際的に学ぶことで、物事を複眼的に考える能力を身につけられるところにあるのだと思います。「経済学で社会を観察する力を身につけたい」と志す学生さんとの出会いを楽しみにしています。